好日奥武蔵

実践記 ウォーキング、トレッキング ノ ススメ...稚拙な好奇心...時折下手な工作

野辺山宇宙電波観測所をさまよう-2 天文から疑術者へ(終回)  

野辺山宇宙電波観測所をさまよう-2 天文から疑術者へ(終回)
2016/08/13 16:00~

907 向日葵の(ライン) ダンサーを従えて ミリ波計
☆IMGP5907

-1からの続きです。
-1は⇒
  野辺山宇宙電波観測所をさまよう-1幼い頃の夢の入り混じり


前回は「電戯疑術者」みたいなことでした。
その続きです。
 私の場合は日本の発展にも勤務先の会社にも何にも貢献していませんでした。
貢献するだけの基礎能力が無かったということですね。
まあ、なんて言うのでしょうか、物理なのか化学なのか・・・図形処理なのかそんな感じでした。
いずれも基礎能力欠如でしたから難しいこたあ出来ません。

890 45m電波望遠鏡
☆IMGP5890

 当時は最先端の世界のわりには泥臭い仕事(遊び)でした。
一畳ほどの図面に半導体NP素子(トランジスタを何千個も配置して)配線する。
(直ぐそれが半導体の技術の急速な進歩で四畳半とか六畳位の大きさになる)何でそんなに図面が大きいかと言うと、当時の半導体チップはTTLロジックからMOS- CPU、メモリなど0.数㎜から数㎜角なのですが、その中にトランジスタを数百個から何十万個(今は数百万個~)も作るために数百倍から1000倍位の図面にしないと描ききれない。

トランジスタ素子の構造や配線を描ききれないわけです。チップ自体は薄い半導体の平面なのですが、PNの選択拡散を繰り返し、薄い半導体の中にP/N層を形成するために断面は立体構造になっています・・・わかりにくいですね。

木の年輪、同心円を半分に切って半円にした感じで、P/Nの年輪のような層が出来ます。
その層に電極を付ければトランジスタの原理になります。いやあ何だか訳が分からなくなってきましたが、
EDAなど無い時代ですから、そんな図面を鉛筆と定規、消しゴム、で何枚も描いていました。
いやデッチあげていました。

893
☆IMGP5893

 私が描いていたICは当時、産業の螺子・釘と言われているような基本ロジックのIC(演算、デコー・・・など)でしたので大量生産です。多くの機器に実装されていました。一般の方々は知らずのうちに怪しい疑術者のICを使っていたはずです。

894 ここでは親しみを込めて「よんごー」と呼んでいるそうです。 
☆IMGP5894
お椀が上を向いたこのような常態が一番安定して、休んでいる状態だそうです。

◇1000倍・・・例えば1mm角のチップの設計をするとそのころの回路素子・トランジスタは0.05mmと0.01mmのメタル配線・・・これをそのまま鉛筆で描くことは不可能なので、1000倍位にして作図をします。

チップの1mmは図面では1000mm(1m)になってしまうのです。
現在は半導体の加工処理や設計技術が飛躍的に進み、桁違の回路数を数ミリチップ内に入れることが出来ます。

しかしそれを紙と鉛筆、定規を使って作図しようとすると何十mにもなりとても処理出来ません。
30m先まで消しゴムを持って修正に行けません。

895
☆IMGP5895

30mの直線を鉛筆で描いてみてください。足、腰、肩、腕への負担はどれほどのことか、お分かりいただけると思います。
鉛筆一本で30mの線を何本引けるのでしょう。もちろん作図だけの問題では無いのですが。

さすがに現在は紙と鉛筆というワケにはいきません。
専用のEDAシステムの運用によって設計、シミュレーション、加工、検査など半導体製品の製造から品質管理まで総合的に制御、処理されているはずです。

896
☆IMGP5896

898
☆IMGP5898

ここで、誤・ご・御注意、当文中には疑術者だけに許されるいい加減さが混ざっています。
900
☆IMGP5900

925DIP だいぶ前のIC・・・ムカデがひっくり返ったようなものが基本ロジックICです。
☆R1059925SOP DIP

演算する回路自体は0.4mm角くらいのチップなのですが、それでは小さすぎるので人が扱い易い大きさにしています。(外装約6x20mm、足のピッチ0.1インチ)

901
☆IMGP5901

903
☆IMGP5903

◇以前の1000倍で設計図を描いとします。それでは1mm角のチップの現物はどうやって作ったのと言う疑問が涌いてきます。
伸縮の少ないフィルムに転写する職人の方によって1000倍のフィルム上に正確に図形を転写します。

実際には巨大なポリエステルベースの剥離紙をXYに正確に移動できる刃を持ったプロッタ(道具を使いこなすカットマン・職人さんがいて)で剥離できる部分と残す部分に分けてカットしていき図面から原版の元を作っていったのです。

気の抜けない作業が何日も続く気の遠くなる作業です。
紙の図面からフイルムベースの原版に写し採ったものを精密カメラによって第一次リダクション処理をします。

精密カメラって云って、その大きさは20畳くらいの部屋の大きさです。
そこで1/100くらいまで縮写し「レチクル=1次縮写された原版」を作ります。

更に現物のチップを作るために原寸の原版を作ります。ステッパーという超精密光学機器です。

904 電波望遠鏡を移動させる時に使う鉄路
☆IMGP5904

ステッパーはレチクルを更に1/10に縮写(ここで現物サイズ)しながら碁盤の目のようにチップサイズを並べていくのです。
シリコンウェーハと呼ばれる半導体回路の基材のサイズに合わせて径4インチ(インチ=25.4mm)とか6、8、12インチ・・・とかに合わせて縦横にチップを並べます。
 
これがいよいよ半導体回路を作るためのフォトマスク、原版になるのです。
 
905
☆IMGP5905

 以前はこれらの先端技術や工業用の精密機器はドイツが得意でした。私が疑術者だったころは要の装置はドイツ製でした。
今は全般的に日本製が強いですね。理論だけでは成し得ない最後の詰めを日本人特有の生真面目な職人が仕上げる・・・

当時疑術者が使っていた装置は一基N億円もしました。ですからそれなりの投資の出来るメーカで無いと半導体の製造に関われなかったはずです。

実際には水、空気の確保から光学、化学の処理ラインを構築する等に果たしていくら、何百億(今では何千億)の投資が必要だったでしょう。

それに半導体の発展が極めて速く、直ぐに機器・装置は陳腐化し、常に最新の設備が求められていました。
半導体技術の急速な発展でそれを使用した電子機器が一般の家庭に普及し始め、売り上げは急拡大した時期でした。
しかし技術者の育成、設備資金・・・諸々、工場の運営は大変だったと思います。

909
☆IMGP5909

日本人は光学的処理、精密機器の製造が得意です。
更にそれを仕様以上に使いこなす技術職人の日夜の研鑽によって高品質の半導体集積回路が作られていったのです。

924QFP
☆R1059924QFP

時は電子立国日本の黎明期です。
1991年、NHKスペシャル「電子立国日本の自叙伝」と言う番組が何回かに分けて放送されていました。
疑術者はその中で国内の電卓戦争が勃発した頃の話です。

910
☆IMGP5910

912
☆IMGP5912

それで、なんでしたかね・・・
そうそう、「天文学者」になる夢が「電戯疑術者」になったのでした。
のちにプラネタリウムの会社さんと仕事のでお付き合いがありました。

天文学の夢をみた幼いころのことを想いながら、打ち合わせをしたものです・・・と、いうより装置の話とか、天文のこととかをただ好奇心的にお教え戴いただけです。それもだいぶ時が過ぎ記憶は頭髪の如く薄れ、光源部のユニットが故障してご迷惑をかけた・・・そんなことしか憶えてないなあという感じです。

914
☆IMGP5914

毎度のことですが、支離滅裂で何のことだか分かりません。何処に行こうとしているのかも・・・めちゃくちゃな話です。

少しは天文学に関わったこともあったことが走馬灯の如く脳裏を巡りながら、
たまたま今回、この野辺山の地をさまよう機会があったのでした。

◇日本はプラネタリウムでは最先端の国です。
光学、精密な制御、コンテンツの製作、どれも日本が得意とする分野で、それが生かされているのでしょう。
http://www.konicaminolta.jp/planetarium/index.html
http://www.goto.co.jp/about/
日本には世界のシェア1位と2位のメーカが存在します。もちろん国内でもこの2社が他社を寄せ付けず、
事実上は3位があって無いようなそんな感じです。

最近のプラネタリウムはハードもソフトも大変進歩し、素晴らしい映像を楽しめるようになりました。
宇宙とか星とかに興味のある方はもちろん、一般の若い方も行かれるようです。
まだの方は是非見てほしいですね・・・
そう言う自分は、随分昔に一回見ただけですが・・・

稚拙な内容のものを辛抱強くご覧戴きましてありがとうございました。

     おわり

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☆IMGP5931


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Posted on 00:23 [edit]

category: 山梨 長野

コメント

おはようございます^^

根っからの文化系で、難解な箇所が多々ありましたが・・・唯一。
これまで極小のパーツを生み出す事に驚きと尊敬の念を抱いて
おりましたが、その図面に関しては、逆に拡大していたとは(゜ロ゜)
確かにそうですね・・・
製品は小さくても、設計図面も同じサイズとはいかないもの・・・
となると、よく分解した時に見る機会がある集積回路。
あの複雑な組み合わせを設計する段階のご苦労は、想像が
出来ないような労力だったと思います。

URL | くろすけ #Ix6Hncxw
2016/08/25 10:31 | edit

こんにちは。
素晴らしい写真とともに、山人さんの技術とのかかわりについて楽しく読ませて頂きました。
私も、電話の技術部門から出発しコンピューターに長いこと関わりましたので、時代的に同じようなものを扱い、集積技術が高速に進化することを身を持って味わって来ました。
リレー、接点、回路、ハード機構の組み合わせでつながっていた大都市の電話。
トランジス、コンデンサー、抵抗 等々でICがまだ普及していない頃に造られたハードの塊のコンピューター。
ICが高密度化してメモリーが昔は考えられない程のサイズとなり、入出力媒体も紙カード・テープから進化して電子化し、現代のものの原型となったコンピューター
等々 の変遷を思い浮かべながらブログを楽しく拝見しました。
山人さんと同じように、大きな変遷の中で、常にあたらしいことを学ぶことが出来たのは幸せな時代であったと思います。

URL | りょう #-
2016/08/25 10:41 | edit

ひまわり

こんにちは

私たちが今では当たり前に使っている、パソコンやテレビやケータイなどの、
開発や製造に携わっている現場の方々の苦心の一端が分かりますね。

今回の花はコスモスに代わってひまわりですね。
太陽に向いたり、気象衛星の名前になったりと、
地上に根を生やしながら、宇宙とも関係が深い花ですね。
並んで、同じ丸い形で、同じ方向を向いているのは、
未来的な最先端の人工物と、昔からある自然な花々とが、
相通じているように見えました。

URL | ふさじろう #-
2016/08/25 15:14 | edit

山人さん、今晩は!

大きな構造物と向日葵との対比が面白いですね。まるで、ミリ波計と張り合って
いるようです。(笑)

ICの黎明期には、色々と苦労があったのですね。私のような文系には想像もで
きない話ですが、大きな図面を縮小していく作業は、理屈ではわかっても、相当
精密な作業だったでしょうね。縮小していく過程で、配線がショートしてしまう
ようなことはなかったのでしょうか?

でも、そのような苦労があって、ディスクリートの部品で組むよりも、簡単に、
省スペースで回路ができるようになったわけなんですね。

実際にその仕事に携わった方でないと、書けない内容ですね。大変、興味深く読
ませてもらいました!

URL | コンタロー #wYX2LGZA
2016/08/25 19:05 | edit

Re: おはようございます^^

くろすけさん
こんばんは
そうですよ~携わった世界が異なると
ワケがわかんないですね。
 難解と云うよりも疑わしいあれですから
世界が違うと、半導体自体が難解ですよね。
それに、扱う単位がミリ、インチはよいにしても
ミクロンとかナノなんてミリの下の単位何って日常では
使わないですからね。
 半導体の世界でも、各行程の専門職人の方々の加工技術と
根気は世界に誇れるものがありました。
 細い顕微鏡を見ながら筆を舐め舐めして
100μmの線を直していく・・・カミワザです。

URL | 奥武蔵の山人 #-
2016/08/26 03:07 | edit

Re: タイトルなし


りょうちゃん
こんばんは
恐らく、すぐお隣の世界でしたでしょうか。
しかし、りょうちゃんは立派な技術者、
当方は疑術者の大きな違いがあります(笑)
 当時、リレーから半導体に移っていく時代だと
おもいました。交換機などを見ると良くあの配線が
間違いなく出来ているものだと感心しました。手作業ですものね。
 電電xxと取引のある通信三社と関わりがありましたが、
納期遅れの常態化で間接的にりょうちゃんの会社さんへ
ご迷惑をおかけしたのでしょうね・・・
 でも、既に時効をとっくに過ぎていますからね。
紙カード・・・懐かしいですね。コーディングしてパンチャーさんに
大量のカードを打ってもらい、
IBMのデータセンターに持ち込んで処理してもらったことを
思い出しました。
次から次へと新しい技術(疑術)に接する良い時代であり、
大変な時代でありながら幸せな時代でしたね。

URL | 奥武蔵の山人 #-
2016/08/26 03:10 | edit

Re: ひまわり


ふさじろうさん
 こんばんは
仰せのように 当たり前に使っている電子機器、通信機器は先人達の
努力の積み重ねがあってのことなのでしょうね。

たまたま、電波望遠鏡の前に向日葵が咲いていました。
単純な私はとても良い組み合わせだと思ったのですが
いつもながら表現力、再現力がいまいちでした。
そう云えば、向日葵は陽を追いますし、電波望遠鏡も宇宙の
何かを追っていますね。
ふさじろうさんの洞察力は素晴しいですね。

URL | 奥武蔵の山人 #-
2016/08/26 03:11 | edit

Re: タイトルなし


コンタローさん
こんばんは
どう云うワケか、大きな構造物を見るのがすきですわ
自分がニンゲンとして小さいからでしょうね(笑)

IC(集積回路)は微細な加工を大量生産することで
飛躍的に発展したと想っています。
当時の日本はそういうのが得意でした。

ご存知かと想いますが
日本には世界で一位と二位の印刷会社があるのです。
この二社がICを作るための原版、フォトマスクを量産することが
出来たのです。フォトファビリケーションの応用で微細な加工を
する下地があったのですね。
 ディスクリート・・・で例えば単純な2進の和を求めるには
 数個から十数個の部品が必要でしたが、ICではそれが一個の部品として
出来上がっている。それを飛躍的に集積したものが現代のパソコン、携帯電話に使われている。
以前からしたら、それこそ空想映画の世界でしょうね

URL | 奥武蔵の山人 #-
2016/08/26 03:12 | edit

山人さんは時代を造ってきた技術者だったんですね~
凄いことですよ。
お話の内容は、、
ん~~分かったような、、分からないような、、、
因みに分かったような、分からない様な、、という台詞は
100%なんにも分かっていない人が言う台詞ですね~

天文学者ですか??
宇宙の彼方が見えても過去しか見れないとは!
今どうなってるかが知りたいんだよ~~~って、、思ってます。

URL | タマチャリン #-
2016/08/27 00:29 | edit

Re: タイトルなし

タマチャリンさん
 おはようございます。
半導体集積回路が世に普及しはじめた頃の
ことで、当時はベンチャー企業が雨後のタコ、
いや筍の如く発生していた時代でもありました。
 当時は日本にもスーパーエンジニアが沢山
いらっしゃって、その方々が電子立国を作っていったのだと
想います。

ところで、当方はと言うと
山の中から出てきたサル同然で何もできません。
エンジニアのすることを、すげーなあと
ただ見ているだけでしたよ(笑)
 猿同然な者に好き勝手をさせていて
それで給料がもらえた・・・よい時代でしたわ。

そうそう
エンジニアのために
夏はアイスクリーム
冬は焼き芋
夜は眠気さましのコーヒーを
準備するのだけは得意でした。
 お蔭で、アイスクリームやコーヒーを少しだけ覚えましたわ(笑)

タマチャリンさんが
天文を独学で・・・素晴しい!!
合間の記事を期待してます。








URL | 奥武蔵の山人 #-
2016/08/27 11:01 | edit

こんにちは。

技術者でしたか。
職種が違っていたため、IC関係はまったくわかりませんが、技術の進歩の速さには驚いています。
向日葵と電波t塔のコラボが面白いですね。

URL | S-masa #-
2016/08/27 16:02 | edit

Re: こんにちは。

S-masaさん
こんにちは

たまたま、電子・半導体技術の飛躍的発展時期に
その傍におりました。
半導体の発展にあわせて電卓、(汎用)大型コンピュータ、ミニコン
後にパソコンと云われるようになったマイコン、ノート型PC・・・

しかしながら当方は 
技術者ではなく 偽術者とか疑術者でした(笑)
当時はそれでも何とか食べていける時代でもありましたね。

白の電波望遠鏡の前にたまたま黄色の向日葵が並んで咲いていましたので
撮ってみました。

URL | 奥武蔵の山人 #-
2016/08/28 15:44 | edit

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